北原白秋「落葉松」 from afksx
北原白秋の「落葉松」にafksxが曲を付けた歌のページです。 ページ公開日:2018.9.7.
混声合唱版

  
北 原 白 秋 作詩 「落 葉 松」
原詩 現代日本語拙訳
からまつの林を過ぎて、 落葉松の林の中を通り、
からまつをしみじみと見き。落葉松をしみじみと見た
からまつはさびしかりけり。 落葉松は寂しかった。
たびゆくはさびしかりけり。 落葉松は寂しかった。
からまつの林を出でて、 落葉松の林を抜け出て、
からまつの林に入りぬ。 落葉松の林に入った。
からまつの林に入りて、 落葉松の林に入って、
また細く道はつづけり。 また細く道は続いているのだった。
からまつの林の奥も 落葉松の林の奥にも
わが通る道はありけり。 私が通る道があったのだなぁ。
霧雨のかかる道なり。 霧雨のかかる道だ。
山風のかやふ道なり。 山風の通う道だ。
からまつの林の道は 落葉松の林の道は
われのみか、ひともかよひぬ。 私だけでなく、ひとも通った。
ほそぼそと通ふ道なり。 ほそぼそと通う道だ。
さびさびといそぐ道なり。 さびしさを抱えながら急ぐ道だ。
からまつの林を過ぎて、 落葉松の林を行くうちに、
ゆゑしらず歩みひそめつ。 ふと立ち止まった。
からまつはさびしかりけり、 落葉松は寂しいものだなぁ。
からまつとささやきにけり。 「落葉松」と囁いてしまったことだ。
からまつの林を出でて、 落葉松の林を抜け出て、
浅間嶺にけぶり立つ見つ。 浅間山に墳煙がもうもう立登るのを見た。
浅間嶺にけぶり立つ見つ。 浅間山に墳煙がもうもう立登るのを見た。
落葉松のまたそのうえに。 (高い)落葉松の木を越した向こうに。
からまつの林の雨は 落葉松の林に降る雨は
さびしけどいよよしづけし。 寂しいけれど、いよいよ静かだ。
かんこ鳥鳴けるのみなる。 かっこうが鳴くのが聴こえるだけだ。
からまつの濡るるのみなる。 落葉松の濡れる音がするだけだ。
世の中よ、あはれなりけり。 世の中っていうものは趣深いものだなぁ
常なけどうれしかりけり。 常に移り変わるものだが嬉しいものだなぁ
山川に山がはの音、 やまがわにやまがわの音がし、
からまつにからまつのかぜ。  落葉松に落葉松の風が吹いている
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8番で、白秋は、世界のことを、
しみじみと趣き深いものだなぁ、
そして、嬉しいものだなぁ、と述べています。
  山の中を流れる川には、山川の音が、
  落葉松には落葉松林を通う風がある。

詩人は、落葉松の寂しさに自身を重ね、
落葉松の道を自分の歩む人生という道に重ね、
その落葉松を生かしている大きな自然の力
に思いを致しているのだと思います。
詩人は落葉松との一体感を感じ、
思わず「からまつ」とささやきます。

詩人は、この歌で、
自然の大きな力によって生かされていることへの畏敬
を歌っていると思います。

詩人は、落葉松の姿に、自身の内にある寂しさ、
同じものを見たのではないでしょうか。
そして、その落葉松を取り巻いている世界、
霧雨や閑古鳥や風や山川といったものが
落葉松を優しく包んでいることに気付き、
自然の愛の中に生かされている自己というものを
感じたのかもしれないと思うのです。

・「かんこ鳥鳴けるのみなる。」の「なる」は連体形。
次に名詞などにつながっていく形です。
で、どんな名詞に繋がるのか、と上を探すと、答は、
「からまつの林」だと思います。よって、ここは、
「かんこ鳥が鳴く声が聞こえるだけの(ひっそりとした)[落葉松の林]」
「落葉松が濡れる音がするのみの[落葉松の林](であることよ。)」
ということになるのだと思います。

・インターネットを見ていても、
しっくりくる詩の全訳が見つからなかったので、
浅学を顧みずに自分で書いてしまいました。
間違いにお気づきの際は、ご教授願います。

・詩は、以下の「小さな資料室」というサイト
から、引用させていただきました。
サイトトップは
小さな資料室 TOPページ
このサイトでは、詳しい情報が記載されています。

・北原白秋は、近代日本を代表する詩人のひとりで、
多数の作品を残しています。
「まちぼうけ」「ペチカ」「からたちの花」などは
、 一般の人にもよく知られています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/北原白秋

「落葉松」は、大正12年(1923年)に
詩集「水墨集」の詩として公表されたものです。

白秋は10年間ほどスランプに陥って、
童謡以外の詩が書けなくなっていました。
白秋は大正10年の晩秋から初夏にかけて、
ある夏季講習会に講師として招かれ、婦人とともに、
長野県浅間山麓・軽井沢の星野温泉に逗留していました。
奥さんと2人、落葉松林を朝夕に散策していたそうです。
[→ http://hakusyu.net/Entry/8/ ]
その自然の中で、彼は何かに出会ったのでしょう。
東京に帰って、やがて詩作活動を再開することができました。
「落葉松」はそのきっかけになった詩だといいます。

・動画中の歌詞の仮名遣いのほとんどを、
現代人にわかりやすい現代の仮名遣いに改めさせて
いただきました。
また、多くの人に読めるよう、詩のすべてをひらがな表記
に致しました。ご理解願います。

・ご協力くださった写真の撮影者の方々

木曽郡南木曽町  三原 進  (みはら  すすむ)さん
木曽郡木祖村   翁像 秀雄 (おきなぞう ひでお)さん
木曽郡木曽町   小松 功  (こまつ  いさお)さん
伊那市      向山 世男 (むかいやま せいお)さん
塩尻市      小林 比佐雄(こばやし  ひさお)さん
名古屋市守山区  下川 芳輝 (しもかわ よしてる)さん

撮影者のみなさま、関係各位、ご協力をありがとうございました。

・これらの写真がこの歌に美しいイメージを与えてくださったことに感謝致します。

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[作曲について]

この曲は、作曲者が中学2年生のときの2月に起草、
その頃から全曲できていましたが、
独唱用であり、未記譜でした。
2014年の秋に、Finaleを用いて、はじめて楽譜化。
混声4部合唱用にした全曲の楽譜を作成しました。
同じメロディで同じ調子で8番までいくと、
曲が単調になり、飽きます。
2番や4番が終わったところで、間奏を入れる必要を感じ、
このときに前奏・間奏・後奏を作りました。
5−6番間の間奏は前からできていたものです。
6番は以前からのものに少し改変を加えました。
伴奏をジャズのように多少リズミックなものにしたのは
2014年の即興ですが、2016年現在踏襲しています。

2016年に、Sibeliusを用い、
Finaleで2014年に作った楽譜を取り込み、
楽譜にも少し修正を加えました。

独唱版や女声3部合唱版や男声3部合唱版、弦楽四重奏版、
木管四重奏版、管弦楽版、外国向け、などの楽譜と動画を
いろいろ作れたらいいな、と楽しみに思っております。
(2016年当時の述懐です↑)

私の他の曲は、afksxというキーワードで検索してください。

2016年 作曲者記す

・English Edition 「落葉松」英語版

・文部省唱歌「故郷」を小オーケストラ用に編曲しました。
故郷(ふるさと) 木管+弦楽合奏伴奏編曲版 カラオケ版

無料カラオケとして同窓会等でご利用になって下さい。

・「落葉松」の楽譜は
[同人 音楽の森 」という楽譜サイト
または、
「BASE」内の直営店
で販売しております。

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