北原白秋の「落葉松」にafksxが曲を付けた歌のページです。 ページ公開日:2018.9.7.
混声合唱版
北 原 白 秋 | 作詩 | 「落 葉 松」 | |
原詩 | 現代日本語拙訳 | ||
一 | |||
からまつの林を過ぎて、 | 落葉松の林の中を通り、 | ||
からまつをしみじみと見き。 | 落葉松をしみじみと見た | ||
からまつはさびしかりけり。 | 落葉松は寂しかった。 | ||
たびゆくはさびしかりけり。 | 落葉松は寂しかった。 | ||
二 | |||
からまつの林を出でて、 | 落葉松の林を抜け出て、 | ||
からまつの林に入りぬ。 | 落葉松の林に入った。 | ||
からまつの林に入りて、 | 落葉松の林に入って、 | ||
また細く道はつづけり。 | また細く道は続いているのだった。 | ||
三 | |||
からまつの林の奥も | 落葉松の林の奥にも | ||
わが通る道はありけり。 | 私が通る道があったのだなぁ。 | ||
霧雨のかかる道なり。 | 霧雨のかかる道だ。 | ||
山風のかやふ道なり。 | 山風の通う道だ。 | ||
四 | |||
からまつの林の道は | 落葉松の林の道は | ||
われのみか、ひともかよひぬ。 | 私だけでなく、ひとも通った。 | ||
ほそぼそと通ふ道なり。 | ほそぼそと通う道だ。 | ||
さびさびといそぐ道なり。 | さびしさを抱えながら急ぐ道だ。 | ||
五 | |||
からまつの林を過ぎて、 | 落葉松の林を行くうちに、 | ||
ゆゑしらず歩みひそめつ。 | ふと立ち止まった。 | ||
からまつはさびしかりけり、 | 落葉松は寂しいものだなぁ。 | ||
からまつとささやきにけり。 | 「落葉松」と囁いてしまったことだ。 | ||
六 | |||
からまつの林を出でて、 | 落葉松の林を抜け出て、 | ||
浅間嶺にけぶり立つ見つ。 | 浅間山に墳煙がもうもう立登るのを見た。 | ||
浅間嶺にけぶり立つ見つ。 | 浅間山に墳煙がもうもう立登るのを見た。 | ||
落葉松のまたそのうえに。 | (高い)落葉松の木を越した向こうに。 | ||
七 | |||
からまつの林の雨は | 落葉松の林に降る雨は | ||
さびしけどいよよしづけし。 | 寂しいけれど、いよいよ静かだ。 | ||
かんこ鳥鳴けるのみなる。 | かっこうが鳴くのが聴こえるだけだ。 | ||
からまつの濡るるのみなる。 | 落葉松の濡れる音がするだけだ。 | ||
八 | |||
世の中よ、あはれなりけり。 | 世の中っていうものは趣深いものだなぁ | ||
常なけどうれしかりけり。 | 常に移り変わるものだが嬉しいものだなぁ | ||
山川に山がはの音、 | やまがわにやまがわの音がし、 | ||
からまつにからまつのかぜ。 | 落葉松に落葉松の風が吹いている | ||
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8番で、白秋は、世界のことを、
しみじみと趣き深いものだなぁ、
そして、嬉しいものだなぁ、と述べています。
山の中を流れる川には、山川の音が、
落葉松には落葉松林を通う風がある。
詩人は、落葉松の寂しさに自身を重ね、
落葉松の道を自分の歩む人生という道に重ね、
その落葉松を生かしている大きな自然の力
に思いを致しているのだと思います。
詩人は落葉松との一体感を感じ、
思わず「からまつ」とささやきます。
詩人は、この歌で、
自然の大きな力によって生かされていることへの畏敬
を歌っていると思います。
詩人は、落葉松の姿に、自身の内にある寂しさ、
同じものを見たのではないでしょうか。
そして、その落葉松を取り巻いている世界、
霧雨や閑古鳥や風や山川といったものが
落葉松を優しく包んでいることに気付き、
自然の愛の中に生かされている自己というものを
感じたのかもしれないと思うのです。
・「かんこ鳥鳴けるのみなる。」の「なる」は連体形。
次に名詞などにつながっていく形です。
で、どんな名詞に繋がるのか、と上を探すと、答は、
「からまつの林」だと思います。よって、ここは、
「かんこ鳥が鳴く声が聞こえるだけの(ひっそりとした)[落葉松の林]」
「落葉松が濡れる音がするのみの[落葉松の林](であることよ。)」
ということになるのだと思います。
・インターネットを見ていても、
しっくりくる詩の全訳が見つからなかったので、
浅学を顧みずに自分で書いてしまいました。
間違いにお気づきの際は、ご教授願います。
・詩は、以下の「小さな資料室」というサイト
から、引用させていただきました。
サイトトップは
小さな資料室 TOPページ
このサイトでは、詳しい情報が記載されています。
・北原白秋は、近代日本を代表する詩人のひとりで、
多数の作品を残しています。
「まちぼうけ」「ペチカ」「からたちの花」などは
、 一般の人にもよく知られています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/北原白秋
「落葉松」は、大正12年(1923年)に
詩集「水墨集」の詩として公表されたものです。
白秋は10年間ほどスランプに陥って、
童謡以外の詩が書けなくなっていました。
白秋は大正10年の晩秋から初夏にかけて、
ある夏季講習会に講師として招かれ、婦人とともに、
長野県浅間山麓・軽井沢の星野温泉に逗留していました。
奥さんと2人、落葉松林を朝夕に散策していたそうです。
[→ http://hakusyu.net/Entry/8/ ]
その自然の中で、彼は何かに出会ったのでしょう。
東京に帰って、やがて詩作活動を再開することができました。
「落葉松」はそのきっかけになった詩だといいます。
・動画中の歌詞の仮名遣いのほとんどを、
現代人にわかりやすい現代の仮名遣いに改めさせて
いただきました。
また、多くの人に読めるよう、詩のすべてをひらがな表記
に致しました。ご理解願います。
・ご協力くださった写真の撮影者の方々
木曽郡南木曽町 三原 進 (みはら すすむ)さん
木曽郡木祖村 翁像 秀雄 (おきなぞう ひでお)さん
木曽郡木曽町 小松 功 (こまつ いさお)さん
伊那市 向山 世男 (むかいやま せいお)さん
塩尻市 小林 比佐雄(こばやし ひさお)さん
名古屋市守山区 下川 芳輝 (しもかわ よしてる)さん
撮影者のみなさま、関係各位、ご協力をありがとうございました。
・これらの写真がこの歌に美しいイメージを与えてくださったことに感謝致します。
こどもが作った易しいこども用
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[作曲について]
この曲は、作曲者が中学2年生のときの2月に起草、
その頃から全曲できていましたが、
独唱用であり、未記譜でした。
2014年の秋に、Finaleを用いて、はじめて楽譜化。
混声4部合唱用にした全曲の楽譜を作成しました。
同じメロディで同じ調子で8番までいくと、
曲が単調になり、飽きます。
2番や4番が終わったところで、間奏を入れる必要を感じ、
このときに前奏・間奏・後奏を作りました。
5−6番間の間奏は前からできていたものです。
6番は以前からのものに少し改変を加えました。
伴奏をジャズのように多少リズミックなものにしたのは
2014年の即興ですが、2016年現在踏襲しています。
2016年に、Sibeliusを用い、
Finaleで2014年に作った楽譜を取り込み、
楽譜にも少し修正を加えました。
独唱版や女声3部合唱版や男声3部合唱版、弦楽四重奏版、
木管四重奏版、管弦楽版、外国向け、などの楽譜と動画を
いろいろ作れたらいいな、と楽しみに思っております。
(2016年当時の述懐です↑)
私の他の曲は、afksxというキーワードで検索してください。
2016年 作曲者記す
・English Edition 「落葉松」英語版
故郷(ふるさと) 木管+弦楽合奏伴奏編曲版 カラオケ版
無料カラオケとして同窓会等でご利用になって下さい。
・「落葉松」の楽譜は
[同人 音楽の森 」という楽譜サイト
または、
「BASE」内の直営店
で販売しております。
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